GINZA KATSUMIDO  SINCE 1949

銀座カツミ堂写真機店
国産カメラ 名機列伝

ニコンSP ニコンSP

1917年に光学兵器の開発を目的に設立された日本光学工業。写真機器の生産はカメラ本体よりもレンズが先(1930年代)であり、カメラの名称である「ニコン=NIKON」よりも写真レンズの名称である「ニッコール=NIKKOR」の名で知られていた。しかし終戦後、軍需から民生へと完全に転換したニコンはレンズとともにカメラの開発も進め、1948年に初のレンジファインダーカメラニコンI型を発売して以降、改良に改良を重ね、ニコンM(‘49)、ニコンS(‘50)を発売していく。

54年春、カメラ業界を震撼させる大事件が起きた。「Leica M3」の発売である。世界中のカメラメーカーの技術者たちは、カメラとしての性能が飛躍的に向上したその革新的な技術に驚愕した。その「差」に愕然としたニコンの技術者は開発中のニコンS2の発売を延期してさらに機能を充実させ、同年の12月にニコンS2を発売する。等倍の標準レンズ用アバタフレーム内蔵、アルミダイカストボディの採用(軽量化)、初めてのフルサイズ(24×36mm)を実現したニコンS2は世界でも高く評価され、約6万台を販売する。

だが、そのニコンS2も遠く及ばないほど、「Leica M3」は極めて優れていたのが事実であった。ニコンもその後他の国産カメラメーカーと同様、一眼レフカメラへと方針を転換していくのだが、それでも最後の最後に技術の粋を結して、ライカを越えて世界の頂点となるレンジファインダーの最高機種を作ることを決めた。2年半の開発期間を経て1957年9月にニコンSP(NIKON S Professional)を発売。画期的なのは「ユニバーサルファインダー」と名付けられた主副2つのファインダー。主ファインダーは倍率等倍で50mm、セレクターダイヤルにより85mm、105mm、135mmのフレームが表示されパパラックスを自動補正。副ファインダーは28mmと35mmのフレームを表示する。

28mmから135mmまで、特殊ファインダーを使わずに交換レンズを使用できることは画期的であった。フォーカルプレーンシャッターの機能も大幅に向上。作動部分を軽量化し、正確性、静音性が大幅に高められた。ニコンSPは、アメリカの写真雑誌やNBCテレビなどで紹介され、高く賞賛されたのである。

ニコンが積み上げた技術をすべて注ぎ込んだニコンSPと、その翌年にリリースされたSPの廉価版であるニコンS3を最後に、ニコンはレンジファインダーカメラの生産を終了する。そしてニコンSPは、ライカM3と肩を並べる名機として世界に名だたるようになるのである。

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