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銀座カツミ堂写真機店
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現在

結局、僕のイギリス滞在は一度も日本に帰ることなく10年近くとなってしまった。その間、広い世界を見、心ゆくまで写真に接したことで僕は23才の出発時より何倍も大きな人間となって日本に戻ってきた。

イギリスでの10年がなかったら、今の僕はいないと思う。様々な人と触れ、様々なものにレンズを向けることで、人間としてまた写真家としての礎が養われたのだ。

日本に帰ってからも、僕のライカへの想いは増々熱くなっていった。そこで初めて知ったのだが、今の日本には優秀な中古のライカが世界から数多く集まってきているのだ。新製品から使いこまれたものまで実に多くの選択肢がある。ライカファンにとって天国の様な国が日本なのである。そうした中で僕は同じ50ミリや35ミリでもライカ製の様々な種類のレンズを手に入れて使ってみた。製造された年代や開放値、レンズ構成の違いによって多種類のレンズが存在する。その一つ一つが違った描写をするのだ。例えばピントが合ったところの微妙な質感の違い。また、背景のボケ味の印象の違いなどだ。
それぞれのレンズは作られた時代の最高の性能を誇っていたが、その時代では修正しきれない収差があった。それはいわば欠点だが、その欠点が功を奏し、レンズの個性や味となって現代でも受け入れ、評価されているのだ。

僕は5〜6種類の50ミリや35ミリを持っているが、外見の違い、描写の違いなどがあるので使いわけることで飽きることは決してない。さらにボディもM4、M3、M6、現行品のMPと序々に増えていった。このボディも一つ一つの特徴があるので自分の手に馴じみ易いのを探していくうちに増えていってしまった。ライカの魅力の一つが、ものによっては30年前、40年前、50年前、さらにもっと古いものまでが現在でも修理が可能ということだ。世界を見渡しても古いライカが最良のコンディションによみがえる。そうした工業製品は他にそうあるものではないだろう。

現在僕の仕事の主流はデジタルである。クライアントがすぐに結果を見て、安心したがるからだ。もちろん、撮影者である僕も安心できる。しかし、カメラバッグにはいつも最低一台のライカを忍ばせておいて、「これぞ」という場面ではライカを取り出すのである。そのライカにはモノクロフィルムが詰めてある。ライカとモノクロフィルム、時に40年、50年、それ以上前に造られたカメラとレンズによって、現代のフィルムを使い、2008年を写す。これはとても大きなロマンであり、同時に半世紀という膨大な時間の流れの中に身を委ねた不思議な快感でもあるだ。フィルムが手に入る限り、僕にとって最もモチベーションの上るは、ライカとフィルムの組み合わせである。

今、写真を続けてきて良かった、ライカに出会って良かったとつくづく思う。ライカは道具という範ちゅうを超え、写真家に生きる喜びと勇気を与えてくれる力強い存在だと確信している。

中学2年の頃思い描いていた「世界を平和にしたい」という僕の写真への熱い思いは、現在も揺らぐことなく続いている。

ハービー・山口


※銀座カツミ堂で取り扱っている商品になります

ライカを知ってみよう

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